労働問題15 解雇予告後退職前の社員の管理に関する注意点を教えて下さい。

 解雇予告された社員は、自己都合退職した社員以上に、働くモチベーションが下がりがちです。モチベーションの下がった社員の対応により、業務に重要なミスが発生したり、顧客から苦情が寄せられたりすることがないよう、原則として引継業務やアルバイトでもできるような責任の軽い業務のみを行わせ、正社員でなければ任せられないような重要な業務からは外すべきでしょう。年休消化の希望があれば年休を消化させたり、最低限の引継に必要な時間を除いて転職活動をすることを容認したりして、最低限の引継業務以外は就労を免除するといった措置をとってもいいかもしれません。 
 また、解雇予告された社員の中には、機密情報を不正に持ち出したり、消去したりする者もいますので、不審な行動がないか、上司が監督する必要があります。機密情報を不正に持ち出したり、消去したりするのを防止するため、原則として会社のパソコンは使わせず、どうしても必要な場合は、上司の監視の下、パソコンを使用させるといった対応をするのが望ましいところです。
 機密情報保護の必要性が特に高い担当業務の場合は、
 ① 解雇予告後は、年休消化の希望があれば年休を消化させたり、最低限の引継に必要な時間を除いて就労義務を免除し転職活動をすることを容認したりして、機密情報にはアクセスさせない
 ② 解雇予告するのではなく30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払って即時解雇し、パソコン等に触れさせないまま、最低限の私物を持たせて退社させ、残った私物は宅配便で自宅に発送する
といった配慮が必要なケースもあると思われます。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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