労働問題77 問題社員を解雇する際の注意点のうち、最初に理解すべきものを教えて下さい。

 漠然と会社が解雇を有効と判断すべき事情が多いように思えた場合であっても、問題社員を解雇しても大丈夫だとは直ちにはいえないということには、十分な注意が必要です。
 有効に解雇するためには、解雇に「客観的に」合理的な理由が必要であり(労契法16条)、会社経営者が主観的に解雇には合理的な理由があると考えただけでは足りません。
 勤務成績、勤務態度等が不良であるというためには、その評価を基礎づける「具体的事実」を立証できなければなりませんが、「仕事ができない。」「勤務態度に問題がある。」「協調性がない。」といった抽象的な説明しかできない事例が散見されます。
 解雇されてもやむを得ないと考えられるような具体的事実を説明できないようでは、大した理由もないのに、何となく気に入らないから解雇しただけなのではないかとの疑いを払拭することができなくなってしまいます。
 紛争が表面化する前の時点で、いつ、どこで、誰が、何を、どのようにしたのかを証明するための客観的証拠を準備し、それのどこがどのように問題なのかを具体的に説明できるようにしておく必要があります。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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