労働問題62 試用期間満了前に本採用拒否(解雇)することはできますか?

 試用期間満了前であっても、社員として不適格であることが判明し、解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合であれば、本採用拒否(解雇)することができます。
 試用期間中に社員として不適格と判断された社員が、試用期間満了時までに社員としての適格性を有するようになることは稀ですから、使用者としては早々に見切りをつけたいところかもしれません。
 しかし、試用期間満了前に本採用拒否(解雇)することを正当化するだけの客観的に合理的な理由を立証することができるかどうかについての判断が甘いケースが目立ちますので、客観的合理性の有無については、証拠に照らして慎重に判断する必要がありますし、本採用拒否(解雇)を試用期間満了前に行うことが社会通念上相当として是認されるかどうかについてもよく検討する必要があります。
 また、試用期間中の社員の中には、少なくとも試用期間中は雇用を継続してもらえると期待している者も多く、試用期間満了前の本採用拒否(解雇)には紛争を誘発しやすいという事実上の問題もあります。
 したがって、試用期間満了前の本採用拒否(解雇)は慎重に行うべきであり、十分に話し合って退職届を提出してもらえるよう努力するか、試用期間満了日での本採用拒否(解雇)とすることをお勧めします。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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