労働問題528 解雇予告制度とその例外について教えてください。
1 解雇予告制度
期間の定めのない労働契約の場合、労働者からは2週間の予告期間を置けばいつでも解約できますが、使用者からは労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告をしなければならず、予告しない場合には30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません(解雇予告義務等)。
2 解雇予告制度の例外
①日々雇い入れられる労働者、②2か月以内の期間を定めて使用される労働者、③季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される労働者、④試用期間中の労働者を解雇する場合は、解雇予告義務等は生じません(労基法21条)。もっとも、日々雇い入れられる者が1か月を超えて引き続き雇用された場合、2か月以内の期間を定めて雇用された者が2か月を超えて引き続き雇用された場合、試用期間中の者が14日を超えて雇用された場合には、解雇予告義務等が生じます。
また、⑤天災その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合、⑥労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合は、予告なく即時解雇することができ、予告手当支払義務も生じません。即時解雇をする際には、行政官庁に除外認定を受ける必要があります。
労働者の責めに帰すべき事由とは、労働者の非違行為が、解雇予告制度の保護を否定されてもやむを得ないと認められるほど重大・悪質な場合をいいます。労働者の帰責事由に基づく解雇が全てこれに該当するわけではありません。
通達では、「労働者の責めに帰すべき事由」について、①事業場内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為、②賭博、風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合、③雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合及び雇入れの際、使用者の行う調査に対し、不採用の原因となるような経歴を詐称した場合、④他の事業へ転職した場合、⑤原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合、⑥出勤不良又は出欠常ならず、数回にわたって注意を受けても改めない場合という基準を定めています。
3 使用者によくある誤解
使用者の中には、試用期間の14日以内であれば、自由に解雇できると誤解している方がいますが、これはあくまでも解雇予告義務等が生じないだけであり、解雇が有効かどうかとは別問題となります。解雇の有効性を考えずに解雇の意思表示をしないよう注意する必要があります。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
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