労働問題48 懲戒解雇・諭旨解雇・諭旨退職等の退職の効果を伴う懲戒処分を検討する際の注意点を教えて下さい。

 懲戒解雇・諭旨解雇・諭旨退職等の退職の効果を伴う懲戒処分については、懲戒権濫用の有無が厳格に審査され、紛争となりやすい傾向にあります。
 特に、退職金が不支給・減額とされる場合には、訴訟で争われるリスクがさらに高くなります。
 退職の効果を伴う懲戒処分は、特に慎重に行う必要があり、特に退職金が不支給・減額される事案であれば、訴訟で争われることを覚悟した上で、懲戒処分に踏み切るくらいの心構えが必要だと思います。
 このようにアドバイスすると、あたかも重い懲戒処分をしないよう言っているように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。
 事案に応じた適切な懲戒処分は必要であり、重大な問題行動を行った社員については、懲戒解雇等の懲戒処分に処し、退職金を不支給又は減額する必要があります。
 大事なのは、これから行おうとする処分のリスクを理解し、見通しを立ててから懲戒処分等に踏み切ることです。
 争われるのが怖くて必要な懲戒処分ができなかったり、リスクを具体的に理解せずに見通しが立たないまま何となく懲戒解雇等を行ったりといった事態にならないようにする必要があります。
 リスクを具体的に理解し、見通しを立ててから懲戒解雇・諭旨解雇・諭旨退職等の退職の効果を伴う懲戒処分を行ったことにより紛争が発生したとしても、予定どおりの経過をたどり予定どおりの結末で終わるのであれば、もはや「リスク」と評価することすらできないようにも思えます。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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