労働問題463 「⑥顕著な事業者性」の有無を判断する際には、どのような事情を考慮する必要がありますか。
「顕著な事業者性」が認められる事情
以下のような事情から、顕著な事業者性が認められる場合には、判断要素の総合判断の結果として、労働者性が消極的に解され得るものと考えるのが一般的です(『労使関係法研究会報告書』)。
自己の才覚で利得する機会
- 契約上だけでなく実態上も、独自に営業活動を行うことが可能である等、自己の判断で損益を変動させる余地が広範にある。
業務における損益の負担
- 相手方から受託している業務で想定外の利益や損失が発生した場合に、相手方ではなく労務供給者自身に帰属する(ただし、相手方が一方的に決定した契約により、労務供給者が一方的に損失を被るような場合は、事業者性が顕著であると評価される訳ではない。)。
他人労働力の利用可能性
- 労務供給者が他人を使用している。
- 契約上だけでなく実態上も相手方から受託した業務を他人に代行させることに制約がない。
他人労働力の利用の実態
- 現実に、相手方から受託した業務を他人に代行させる者が存在する。
他の主たる事業の有無
- 相手方から受託する事業以外に主たる事業を行っている。
機材、材料の負担
- 労務供給者が、一定規模の設備、資金等を保有している。
- 業務に必要な機材の費用、交通費、保険料、修理代などの経費を、実態として労務供給者が負担している(ただし、相手方が一方的に決定した契約により労務供給者側による機材等の経費の負担が求められている場合は、事業者性が顕著であると評価される訳ではない。)。