労働問題374 労契法9条の合意があった場合、合理性や周知性は就業規則の変更の要件とはならないと考えてよろしいでしょうか。

 「就業規則の不利益変更は、それに同意した労働者には同法9条によって拘束力が及び、反対した労働者には同法10条によって拘束力が及ぶものとすることを同法は想定し、そして上記の趣旨からして、同法9条の合意があった場合、合理性や周知性は就業規則の変更の要件とはならないと解される。」(協愛事件大阪高裁平成22318日判決)との見解が妥当と思われますが、労働者の同意があれば合理性や周知性は就業規則の変更の要件とはならないとの見解に立ったとしても、合意の認定は慎重になされるのが通常であるため、労働者が就業規則の変更を提示されて異議を述べなかったといったことだけでは不十分であり、最低限、書面による同意を取る必要があります。
 また、合理性に乏しい就業規則の規定の変更については、書面による同意を取ったとしても、労働者の同意があったとは認定されないリスクが高いものと思われます。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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