労働問題324 訴訟における管理監督者に該当するかどうかの一般的な判断基準はどのようなものですか。
管理監督者は、一般に、「労働条件の決定その他労務管理について、経営者と一体的な立場にある者」をいうとされ、管理監督者であるかどうかは、
① 職務の内容、権限及び責任の程度
② 実際の勤務態様における労働時間の裁量の有無、労働時間管理の程度
③ 待遇の内容、程度
などの要素を総合的に考慮して判断されます。ただし、①②の要素を充足しない場合には、③待遇が相当高かったとしても、管理監督者性が否定される傾向にありますので、まずは①②が管理監督者に相応しいものであることが必要となるものと考えられます。
①職務の内容、権限及び責任の程度を検討するにあたっては、労務管理を含む事業経営上重要な事項にかかわっているか、事業経営に関する決定過程にどの程度関与しているか、現場業務(管理監督以外の仕事)にどの程度従事していたか、他の従業員の職務遂行・労務管理に対する関与の程度、管理監督者として扱われている社員の割合等が考慮されます。
②実際の勤務態様における労働時間の裁量の有無、労働時間管理の程度を検討するにあたっては、タイムカード等による始業終業時刻管理の有無、欠勤控除の有無等が考慮されます。
③待遇の内容、程度を検討するにあたっては、役職手当や賃金の額が役職に見合っているか、社内における賃金額の順位、管理職になった後の賃金総額と管理職になる前の賃金総額との比較等が考慮されます。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎