労働問題273 36協定の締結・届出の概要を教えて下さい。
労基法32条で規制する労働時間を超えて労働させる場合、労基法35条の休日(法定休日)に労働させるためには、労基法上、36協定を締結し、労基署に届け出る必要があります(労基法36条)。36協定を締結しただけでは足りず、届出が効力発生要件です。36協定の届出により、使用者は労基法32条違反の犯罪が成立しないという効果が生じます。
36協定については、『労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成10年12月28日労働省告示第154号)』 が定められています(労基法36条2項)。時間外労働の限度時間は、原則として、1週間15時間、2週間27時間、4週間43時間、1か月45時間、2か月81時間、3か月120時間、1年間360時間ですが(1日当たりの限度時間は定められていません。)、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情が生じた時に限り、限度時間を超えて時間外労働を延長することができるものとする協定(特別条項付協定)を締結し、届け出ることもできます。
なお、所定労働時間が8時間に満たない事業場において所定労働時間を超えて労働させた場合や、法定休日ではない休日(祝日等)に労働させた場合で、週40時間、1日8時間を超えて労働させていない場合は、事前の36協定の締結、労基署長への届出(労基法36条)は必要とされていません。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎