労働問題245 長時間労働を抑制するための立法論として、どのようなものが考えられますか。
平成22年4月1日施行の改正労基法では、一定時間以上の法定時間外労働に対する残業代(割増賃金)の割増率を上げることで使用者の負担を大きくし、長時間労働の抑制を図ろうとしているようですが、割増率を上げたのでは労働者が残業するモチベーションを高めることになってしまいますから、長時間労働の抑制にはならないのではないでしょうか。所定労働時間に働いて稼ぐよりも、残業で稼いだ方が、効率がいいことになってしまいます。
他方、使用者は、残業代支払の負担が増えた場合、賞与額をその分減額したり、基本給・手当の額・昇給幅を抑制する賃金体系を採用したりして、トータルの人件費が増えないよう工夫することでしょう。その結果、残業しないと生活できない労働者が増大することになりかねません。
長時間労働を抑制するための立法論としては、退社時刻から一定の休息時間を経過してからでないと翌日は仕事させてはならないといったような形で、休息時間の確保を義務づけるインターバル規制も考えられますが、業種によっては反対論が根強いところです。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎