労働問題230 残業時間が深夜0時を超えた場合、何時までが時間外労働になりますか。
労基法32条2項は「使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。」と規定し、1日8時間を超えて労働させた時間は時間外労働になり、残業代(時間外割増賃金)の支払が必要になります。では、残業時間が深夜0時を超えた場合、同じ「1日」の残業として扱うべきなのか、それとも日付が変わったことから別の「1日」の労働時間として扱うべきなのでしょうか?
行政解釈では、「1日」とは、原則として、午前0時から午後12時までのいわゆる暦日を意味するが、継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも一勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の1日の労働とする(昭和63年1月1日基発第1号・婦発第1号)ものとされています。長時間労働を抑制しようとする労基法32条、37条1項の趣旨からすれば、残業時間が深夜0時を超えた場合に残業時間が継続すると解釈せざるを得ないものと思われます。
もっとも、翌日の始業時刻からは新たな所定労働時間が開始しますので、時間外労働となるのは翌日の始業時刻までです。行政解釈でも、「翌日の所定労働時間の始期までの超過時間に対して、法第37条の割増賃金を支払えば法第37条の違反にはならないとされています(昭和26年2月26日基収3406号、昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号)。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎