労働問題197 定年退職者に提示した賃金水準での再雇用を高年齢者が拒絶したため、定年退職者を再雇用しませんでした。高年法違反にはなりませんか。

 高年法が事業主に要求しているのは、継続雇用制度等の高年齢者雇用確保措置の導入であって、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではありません。事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、定年退職者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に定年退職者が再雇用されなかったとしても、高年法違反となるものではありません。
 企業が定年退職者に提示した賃金水準での再雇用を高年齢者が拒絶した場合は、再雇用されなかったとしてもやむを得ないところです。企業ができることは、自社の体力、定年退職者の能力、再雇用後の業務の内容、当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲等に見合った適正水準の賃金等の労働条件を提示するところまでであり、当該労働条件での再雇用を希望するかどうかは、定年退職者の選択に委ねられることになります。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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