労働問題103 有期労働契約であれば、契約期間途中で労働者が一方的に辞職するのを防止することができますか。

 有期労働契約においては、本来、「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。」と定める民法628条に規制され、やむを得ない事由がなければ契約期間満了前には退職できないのが原則です。
 もっとも、期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者(労基法14条1項各号に規定する労働者を除く。)は、民法628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後は、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます(労基法137条)。
 また、労基法137条が適用されない事案であっても、有期労働契約者の就業規則に一定の期間(例えば、14日前とか、30日前)に申し出れば退職できる旨就業規則に規定されていれば契約期間満了前に退職することができます。
 有期契約労働者が使用者に退職希望の意思を伝えて欠勤を続けた場合、賃金の欠勤控除をしたり、懲戒処分に処したりすることはできるかもしれませんが、強制的に働かせることはできません。損害賠償請求ができるかどうかは一概には言えませんが、仮に損害賠償請求が認められたとしても費用対効果が悪いケースが多いように思えます。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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